工藤延寿 象嵌 草花図双耳花瓶

工藤延寿象嵌草花図双耳花瓶①

工藤 延寿(くどう のぶとし) 象嵌(ぞうがん) 草花図双耳花瓶でございます。
工藤延寿は幕末、明治時代の津の名工で生没年不詳です。
安政4年(1857)「上野天神祭山車金具(三重県指定文化財)」制作と本作など、
明治16年(1883)の生存が確認できています。

最初は地元の白銀師の白万に学び、その後、京都で彫金家の橋本一至に師事しました。
師が得意とした高彫工法、鉄地に唐草文を布目象嵌にした鐔(つば)や縁頭、肥後様式の作があります。

花瓶の器体には巣でも張ろうとしているのでしょうか一匹の蜘蛛(くも)が糸をつたう様子と
草花を金銀、色金の高肉象嵌と繊細な彫りで美しく描かれた作品です。
器体首部分と双耳に施された花模様の平象嵌が作品のアクセントになっています。
花瓶の底面には明治13年(1880)仲呂(陰暦の4月という意味)、延寿斎(工藤延寿の号)の銘があります。

<サイズ> 
8.3cm×9cm 高さ20.7cm