粂野締太郎 七宝 鳳凰図香炉

粂野締太郎七宝鳳凰図香炉(その5)

粂野締太郎(くめのていたろう)作 七宝(しっぽう)鳳凰図(ほうおうず)香炉(こうろ)でございます。

粂野締太郎は海外の博覧会で何度も受賞し、尾張七宝の名を広めた作家のひとりです。
植線の細密さでは群を抜いており、再現が困難な驚異的(薩摩焼を彷彿させる細密な図柄)な作品を残しています。

本香炉は七宝独自のつややかさと存在感のある器体に美しい一対の鳳凰図が描かれています。
鳳凰と言えば、最初に京都の平等院鳳凰堂が思い浮かびます。
鳳凰は本来「鳳」という雄と「凰」という雌のつがいですので、平等院鳳凰堂の鳳凰も屋根の両端に向き合うように一対で配されています。
私たちが日常的に利用している硬貨(10円玉)には平等院鳳凰堂が紙幣(1万円札)にも鳳凰が描かれていることはご存知のとおりです。
また、神様の乗り物である御神輿(おみこし)の屋根にも鳳凰が飾られています。
このように日本では優美な鳳凰は吉祥の象徴として使われてきました。

本香炉には明治期のものになり経年の過程で火屋部分に1カ所キズがありますが、その他特筆するいたみはございません。
国内では入手しづらい作家の粂野締太郎の作で吉祥の象徴が描かれた鑑賞用美術工芸品としては十分にお楽しみいただけるのではないかと存じます。

<サイズ> 20.6㎝×18.6㎝ 高さ18.5㎝