豊川光長 二代 金無垢 龍 前金具・裏座
豊川光長(とよかわ みつなが)二代作 金無垢の龍の前金具と裏座でございます。
豊川光長は明治から大正にかけて活躍した名工です。
嘉永四年(1851)1月11日に江戸藩邸で松平大和守家の武士斎藤喜三郎の三男として生まれました。
本名は勇吉といいます。
長じて主家に出仕し御小姓役を務めました。
文久二年(1862)荏原郡大井村に移住し、初代豊川光長の門人となって柳川流の工法を学びます。
十九歳で師家の娘と縁組し、養子となり二代光長を襲名しました。
大正12年(1923)関東大震災で没しました。享年74歳。
前金具の龍は金無垢から打ち出し、彫金で仕上げてあります。
波濤(はとう)や龍の鱗(うろこ)等が立体的に見えるよう非常に丁寧な高肉彫りで仕上げられています。
裏座は遠景に富士山と雲を、近景には雨の松林を片切彫りで描かれています。
前金具・裏座ともに高価な金無垢でつくられた作品は希少で、当時の名士からの注文品ではないかと推定されます。
親指にも満たない幅4.2cmの小さな器形にこれほど細密で美しい彫りを施してある本作品はまさに名品と言えます。
<サイズ>
前金具、裏座 4.2cm