宮部篤良 象嵌水仙に鷺図花瓶

宮部篤良(みやべあつよし) 象嵌(ぞうがん)水仙(すいせん)に鷺(さぎ)図花瓶でございます。

宮部篤良は篠山篤興の弟子で幕末から明治にかけて活躍した京都の金工師で詳細は不明です。

本品は銅地に水仙と白鷺を金銀象嵌で描いた作品です。
水辺に美しく咲きこぼれる水仙の合間から見られた、のんびりと休んでいる鷺や空を見上げる鷺、水面から餌を狙っている鷺、空から舞い降りようとする鷺など様々な白鷺の様子を金銀象嵌と彫りで描いています。
遠近感はもちろんのこと鷺の足下の水面の波文までも忠実に描かれており、高い技術力と表現力で制作された優美な作品です。

水仙は冬(12月から2月)に水辺に咲く花です。
寒く雪が振る季節でも咲くので、別名を「雪中花」とも言われています。

鷺は水鳥の仲間で嘴(くちばし)と足が長く美しい鳥です。
白鷺は“神の使い”としてお祀りしている神社も日本国内にいくつかあり、古来より様々な伝承もあります。
例えば、戦で白鷺が多く飛び立つ姿を旗と見間違い敵が逃げて戦わずして勝ったことから、“縁起の良い鳥”と言われています。
また、一鷺(一羽の鷺)を一路(いちろ)にかけて一筋に功名を志し立身出世するという格言「一路功名」から“吉祥”のシンボルとして、姿が優美なこともあり美術工芸品のモチーフとして古来から好まれて使われました。

<サイズ> 8.7㎝×8.7㎝ 高さ21.4㎝